2017(H29)年度
先端物理学・宇宙地球科学輪講

日時

秋・冬学期 金曜日4時限(14:40〜16:10)

場所

理学部D501大講義室

出席

毎回、回覧される出席表に自筆で署名してください

レポートについて

提出回数

下の日程表に示す2〜3回の講義の組につき1つのレポートを提出する。提出するレポートの数は合計5つ。

内容

興味や関心を持った講義について、その内容をまとめる。さらに、内容に関連してさらに自分で調べたこと、あるいは疑問に思ったことを書いてもよい。

形式

A4紙で2〜4枚程度。1枚は不可。
1ページ目の初めに
・講師名、表題
 (改行して)
・学科、学年、学籍番号、氏名
を明記し、続けて同じページからレポート内容を書いてください。

提出先

理学部H棟4階物理事務室(H408)の扉の横の「鍵返却・レポート提出用メールボックス」

講義日程とレポート提出期限

レポート 提出期間:2017/10/23〜10/30

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2017.10.7

ガイダンス
南條 創(物理学専攻)

2017.10.13

宇宙機による粒子計測から迫る太陽地球(惑星)系科学
横田 勝一郎(宇宙地球科学専攻)

 宇宙のほとんど全てはプラズマに占められていて、この太陽系も太陽から放出される超音速のプラズマ流(太陽風)で満ちています。太陽風は地球に対して磁気嵐やオーロラ現象を引き起こすため、地上観測から後に宇宙機による観測も交えて太陽地球系科学への取り組みが盛んに行われてきました。その中で宇宙機による粒子計測はその場のパラメータを取得する有効な手段として構築され、宇宙機技術の発展により観測対象は他の惑星にも及ぶようになりました。現在では宇宙機は周回機のみではなく着陸機までも登場して、特に質量分析器には太陽惑星系科学において物理機構の解明のみならず、惑星や太陽系の起源・進化にも迫ることが期待されています。本講義では粒子計測の視点から太陽惑星系科学への取り組みについてお話し、最近や将来の太陽系探査計画を紹介したいと思います。
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2017.10.20

光と電子の 『適切な』 関係
木村 真一(生命機能研究科)

みなさんは,物の色がなぜついているのか,なぜ見えるのか考えたことがあるでしょうか。そこには,電子と光との「適切な」関係(相互作用)が重要な役目を果たしています。ここでは,色の起源だけではなく,光が作りだす電子や,電子が発する光についてお話します。
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レポート 提出期間:2017/11/13〜11/20

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2017.10.27

原子核が明らかにする宇宙:元素合成、超新星、中性子星
民井 淳(核物理研究センター)

 宇宙にある観測可能な物質の質量の99.9%は、陽子と中性子からなる物質「原子核物質」からできています。人間も例外ではなく、あなたの体重の99.9%は原子核物質です。超新星爆発後に残る中性子でできた天体「中性子星」はこの原子核物質からできていて、角砂糖1つ分の重さがざっと3億トンです。
 この原子核物質の性質を調べる実験を、大阪大学核物理研究センターの加速器とスペクトロメータ「グランドライデン」を使って行っています。極微の世界を調べることは、宇宙誕生時に元素がどうできたか、恒星は内部でどの様な反応を起こしながら進化していくか、中性子星 はどんな大きさを持つかといった、極大の世界を知る方法でもあります。原子核物質の状態方程式は、折しも先日発見が報告された中性子連星合体時の重力波を理解する鍵の1つです。
 本講演で、加速器を用いてどの様にして極微の世界を調べるのか、宇宙についてどんなことが分かってきたかを紹介する予定です。
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2017.11.10

高強度レーザーで創る超高圧力の世界
重森 啓介(レーザー科学研究所)

高強度レーザーを物質に照射すると,他の手法では困難な超高圧力を発生させることができます.その圧力は地球の中心状態も凌駕し,核融合反応が起こるような恒星内部に匹敵します.この高圧力状態の物性を調べることにより,地球や惑星の形成過程や,超高圧力状態の相転移の時間変化が得られることが期待されています.高強度レーザーでどのように,どのようなユニークな超高圧力状態が発生できるのか,そしてこの超高圧力状態のどのような応用や展開が考えられるのかを紹介します.
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レポート 提出期間:2017/12/4〜12/11

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2017.11.17

実験室で創る地球
近藤 忠(宇宙地球科学専攻)

地球の形成過程にはまだよく分かっていない事が多くあります。本講演では地球形成時の衝突破壊現象、地球深部における層構造の形成や金属核の形成、各層への元素移動などを、極限環境再現実験で行う研究と、そこから見えてくる最新の地球観を紹介します。
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2017.11.24

超伝導研究最前線:BCS or non-BCS
田島 節子(物理学専攻)

・超伝導現象は、約100年前に発見され、その約50年後Bardeen, Cooper, Schriefferの理論(BCS理論)によって解明された。 その後は、非BCS的な(エキゾチックな)超伝導現象を探索することが超伝導研究の中心となった。
・非BCSの代表である銅酸化物高温超伝導体にはどんな特徴があるのか?
・BCSメカニズムで高温超伝導は実現しないのか?
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2017.12.1

氷の天体が育む生命圏の可能性
木村 淳(宇宙地球科学専攻)

木星以遠のほぼ全ての固体天体は氷に覆われた氷天体であり,それらのいくつかは内部の氷が融けた海を持つと考えられています。そう推測する方法を,探査と計算機シミュレーションの視点から紹介し,そこに地球外生命がいる可能性を探ります。
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レポート 提出期間:2017/12/25〜1/8

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2017.12.8

2次元物質の物理 --- 薄くすると変わる?
越野 幹人(物理学専攻)

世の中には薄さが1nm以下という「2次元物質」が存在する。炭素原子1層からなるグラフェンを皮切りに、近年になって半導体や超伝導体など様々な物質からも2次元物質が作成された。2次元物質は、多くの場合母体となる3次元物質とは大きく異なる性質を持つ。たとえば1層のグラフェンはグラファイトとは異なり、「質量ゼロの相対論的粒子」と呼ばれる異常な性質を持った電子が現れる。また1層にすることで、光らない半導体が光る半導体になったりする。この講演では薄いものたちの不思議な性質を解説する。
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2017.12.15

ミューオンは電子に転換するのか?
久野 良孝(物理学専攻)

素粒子物理学では、近年、ある種の素粒子が別種の素粒子に転換する現象の研究に関心が集まっている。クォーク間での転換(クォーク混合)やニュートリノでの転換(ニュートリノ振動)はすでに発見されている。しかし、荷電レプトンでの転換は未発見である。荷電レプトンであるミューオンが電子に転換する現象を発見しようとする試みとそれによる新しい物理の探求の意義について紹介する。
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2017.12.22

ニュートリノと原子核の相互作用
佐藤 透(物理学専攻)

物質を簡単にすり抜けてしまうニュートリノは、謎の多い粒子です。 「太陽ニュートリノの問題」から始め、「加速器ニュートリノ」の最近の話題について、原子核との関わりを中心に紹介します。
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レポート 提出期間:2018/1/29〜2/5

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2018.1.5

対称性の破れから探る素粒子物理
大野木 哲也・兼村 晋哉(物理学専攻)

素粒子物理において、対称性の破れは質量の起源、真空の構造、宇宙の進化を探る上で重要です。素粒子の標準模型が確立した一方で、宇宙観測では標準理論で説明できない現象も見つかっています。

1)強い相互作用におけるカイラル対称性の自発的破れと物質・反物質の対称性の破れから何がわかるか、
2)電弱対称性の自発的破れに関して標準模型の最小ヒッグス模型を超える新たな機構の可能性を紹介し、初期宇宙にどんな示唆を与えるか、どのように実験的に検証できるか、
についてお話しします。
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2018.1.19

企業における新しい質量分析計の装置開発からアプリケーション開発まで
佐藤 貴弥(日本電子株式会社)

質量分析計は、原子あるいは分子をイオン化し、その質量を測定する分析機器です。ひとくちに「質量分析計」といっても、さまざまなイオン化法と質量分離技術の組み合わせが存在し、その応用分野も広範です。しかし、共通していえるのは、装置技術開発とアプリケーション開発は、質量分析技術向上の両輪であり、いかにバランスよく開発していくかが重要となります。この講義では、企業における質量分析計の開発や、そのアプリケーション開発までをご紹介します。
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2018.1.26

ブラックホールのX線空間分解に向けて
林田 清(宇宙地球科学専攻)

理論上の産物と考えられていたブラックホールが、現実に存在する天体であることを明らかにしたのは、X線天文学最大の成果のひとつである。長年の観測により、様々な質量、環境のブラックホールに関して、その周辺で起こっている物理現象に関する理解はすすんでいる。ただし、現代の観測手段に対してブラックホールはあまりにも小さく、黒い穴の画像を得るまでにはいたっていない。角度分解能の向上という視点からブラックホール観測の歴史、現状、展望を我々が提案するX線干渉計という手段の紹介を交えて解説する。
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輪講世話人
南條 創 H511, nanjo あっと champ.hep どっと sci.osaka-u.ac.jp
(TA) 平井 隼人 (TA) 池田 一毅

過去の先端物理学・宇宙地球科学輪講HP
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